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ジョブズが見た日本、ボルトの本当の偉大さ、そして小さなイノベーション

スティーブ・ジョブズは日本をどう見ていたか

「日本はわが国に死んで流れ着いた魚のようなものだ。
すでに発明されたものを手にして、完全に分かるまで研究する。
発明者本人よりもよく分かってしまう場合もある。
そうした理解の中から、彼らはもっと洗練された第二世代の製品を再発明する。
その戦術が功を奏するのは、ステレオ産業とか自動車といった、あまり変化しないものの場合だけだ。
標的がものすごいスピードで変わっていくものの場合には、彼らには難しい。
パーソナル・コンピュータとは何なのかの定義がくるくると変わり続ける限り、
彼らは非常に苦労するだろうと思うね。」
スティーブ・ジョブズ

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スティーブ・ジョブズが先日亡くなりました。
僕自身はMacという製品は好きですが、スティーブ・ジョブズという人物はいけ好かないというか、むしろビル・ゲイツを尊敬しています。

ですが、スティーブ・ジョブズがイノベーションを起こしたのは間違いの無いことでしょう。Appleが作る製品は、人々の生活と常識を変えました。

さて、上記のコメントはソースは分かりませんが、Tumblrで流れてきたものです。

日本にはカイゼンはできても、革新はできない、とスティーブ・ジョブズは言っているのです。

ここで指摘されているように、これまで日本はアメリカが生んだものをひたすら磨き上げることで繁栄してきました。でも、この戦術はもう破綻しているのように思います。

理由の一つは、スティーブ・ジョブズが言うように、対象がコロコロ変わる場合ですが、変化が少ない分野も依然として多く存在するので理由としては小さいです。

むしろ問題なのは、ライバルの存在です。日本がやっていることは、論理的な思考能力がある人なら、遅かれ早かれ気がつくようなことが多いのではないでしょうか。「大きいから小さくしよう」だとか「うるさいから静かにしよう」だとか「せっかくだからこんな機能もつけよう」というのは誰にだって思いつくことです。それなのに、これまでやってこれたのは、思いついても実装できるのが日本企業だけだったからです。

でも今では状況が違います。レースに参加しているのは日本企業だけではないのです。しかも、レースの競争相手は日本より圧倒的に低賃金の国々の企業。誰がやっても同じなら、安くできる人が有利。これらを相手にして日本企業が勝てのでしょうか。

また、ネットワーク外部性に代表されるような、先行者利益が非常に大きいような分野もそうです。皆が使っていることに価値があるような場合、後発のサービスがもっとよくデザインされていても、なかなかシェアを奪えず苦労するというのはWebの世界ではよく聞く話です。

客観的に観て日本が進める道は二つしかないでしょう。
「他国を圧倒する速度でカイゼンする」か「アメリカ側にまわる」かです。

もちろん分野毎にとるべき方策は異なってくるでしょうが、全体的には後者を目指さねば立ち行かなくなるように僕は思います。

ではイノベーションって何なのでしょう。

ウサイン・ボルトが起こしたイノベーション

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僕は中高と陸上部で長距離の部員でした。
京都大学に進学したのも、毎年12月に京都で行われる全国駅伝に出場できなかった腹いせに、走って行けなかったから勉強で行ってやろう、というなんとも不純な動機からです。走るだけでなく、人が走るのを見るのも好きなので、世界陸上やオリンピックは欠かさずチェックしています。

それはさておき、知っている人も多いと思いますが、男子100mの世界記録保持者はジャマイカのウサイン・ボルトという選手です。
この人が圧倒的に足が速いというのは、言うまでもないですが、実は足の速さ以外にもこれまでの陸上界の常識では考えられない、規格外な一面を持っていることをご存知でしょうか。

それは「身長」です。
ボルトの身長は195cmもあるのですが、今までの短距離界では次のように考えられていました。

短距離選手は身長が180cm台の選手が多く、190cm以上の長身の選手はスタート時の静止状態からの加速が鈍くなるため一般に不利
ウサイン・ボルト - Wikipedia

この常識では190cm以上あるボルトは不利ということになります。
にも関わらず、彼は世界最速の男となった。
しかも、これまで人類が少しずつ積み上げてきた最速の記録を、ボルトはたった一人で0.2秒近くも短縮しているのです。
ちなみに、初めて人類が9秒台で走ってから、モーリス・グリーンが0.2秒短縮して9.79秒で走るのに40年かかりました。

これから先、190cm以上の長身の選手が沢山現れ、ちみちみと世界記録を更新していくでしょう。
でもそれはボルト以後の世界での話。

常識を打ち破ったのはボルトなのです。この点こそが、ボルトの本当の偉大さなのではないかと、僕は思います。
そして大事なことは、これまでの延長線上にはイノベーションは無い、ということであり、常識に囚われていてはいけないということです。

小さなイノベーションの積み重ね

日々の仕事の中で、ちょっとしたカイゼンを繰り返す。もちろん、これは悪いことではありません。
でも現在の延長線上ではなく、もっと根本的なレベルから見なおしてみることも必要なんじゃないでしょうか。ボルトという革命児によって、人類の最速記録が一気に飛躍したように、僕達の身の回りで飛躍することができる場面は沢山残されているはずです。

だからといって、ほいほいイノベーションを起こせるなら苦労はないのです。じゃあどうすればイノベーションって起こせるのか。アメリカで革新的な製品が生まれるのは何故か。

アメリカ人が優秀だから?

あれだけ多様な人種から構成される国民でそれはないでしょう。

つまり、そういう訓練を積み重ねてきたから、のはずです。

「小さなことを積み重ねることが、とんでもない所に辿りつくただ一つの道」
イチロー

今からでも遅くない。身の回りの小さな課題から始めましょう。
なんでその方法でやるの?
昔からやってるからですか?
根本的に問題を解決する方法はないですか?
常識を疑ってみること、それが第一歩です。

小さなイノベーションを起こし続けることが、とんでもないイノベーションを起こすただ一つの道

こんなことを思う、今日この頃です。