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モダンタイムス(伊坂幸太郎)

モダンタイムス(上) (講談社文庫)
伊坂 幸太郎
講談社 (2011-10-14)
売り上げランキング: 6310
モダンタイムス(下) (講談社文庫)
伊坂 幸太郎
講談社 (2011-10-14)
売り上げランキング: 4501

先日本屋の新書コーナーをうろついていた時のこと、「検索から監視が始まる」という帯の宣伝文句に惹かれて「モダンタイムス(伊坂幸太郎)」をふと手に取った。裏面のあらすじを読む限りミステリー小説らしい。伊坂幸太郎がどういうジャンルの作家なのか知らなかったのだけれど、いつか読みたいと思いつつ長らく放置してしまっていた作家さんだったし、僕はミステリー小説が好きなので、その場で即座に購入した。

ミステリー小説の醍醐味は何かと問われれば、やはり「最後の最後でのどんでん返し」と答えるだろう。どんでん返しの質がミステリー作品の8割を決めると言っても過言ではないと思う。僕の中でのNo.1ミステリーは「悪意(東野圭吾)」で、これまでに味わったことのないような清々しいどんでん返しが待っているので、まだ読んだことない人は是非。逆に「葉桜の季節に君を想うということ(歌野晶)」はトリックが個人的に気に食わなくて低評価。

そういう訳であるから例えば「実は超能力使えるんです!」みたいなファンタジー色のあるミステリー作品は、トリックが得てして超常現象じみていて納得がいかず、結果的に評価が悪いことが多い。

そして「モダンタイムス」はそんなファンタジー気味のミステリー作品だった。主人公が超能力に目覚めたり、奥さんがやたら強かったり。文体は軽やかで読んでいて疲れないし、会話の掛け合いもクスリと笑えるところがあって、読むだけならとても楽しめるんだけど、ミステリーとしてもファンタジーとしても中途半端というのが率直な感想で、上記のような「納得のいく落ち」を期待していた身としては、あれ?と思ってしまった。

さて、次に伊坂幸太郎を読むとしたら「ゴールデンスランバー」を読みたいと考えているが、その理由は、文庫本のあとがきで

この連載を続けるのと並行し、書きおろし長編『ゴールデンスランバー』というお話も書いていました。だからなのかどうかはわかりませんが、この二つのお話には類似点がいくつもあります。(中略)片方が、もう片方の作品を刺激して、重なりあった部分も多いように思います。(中略)『ゴールデンスランバー』にあったものが『モダンタイムス』にはなく、『ゴールデンスランバー』になかったものが『モダンタイムス』にはあると、そう感じています。

と著者が言っているから。あと、文庫化にあたって、終盤で明らかになる「ある事件の真相」を全面的に変更しているらしいので、ハードカバーの方を読んだ人も読んでみるといいかも知れない。(大した変更ではないので、わざわざ文庫本を購入してまで再読する必要はないと著者は言っていますが)